江戸、明治、大正、昭和と酒造りをしていた12の酒造家が、昭和19年に完全企業合同を行い秋田酒類製造株式会社として発足したのが「高清水」の始まりです。その折、戦後新体制の中で心機一転銘柄を改めようと公募したところ、5,037点の応募の中から選ばれたのが「高清水」。秋田市寺内大小路(通称「桜小路」)に今もこんこんと湧く霊泉「高清水」にちなんだものとされています。
雄物川、旭川、太平川、3つの川が集まる秋田市川元。蔵のあるこの地はすこぶる水が良く、藩政時代に秋田を治めていた佐竹公がお茶会用に汲んでいた井戸水と水脈を一つにすると言われ、現在でも清冽で良質な水に恵まれています。仕込みに使われる水は、硬度35.7。この天然水が柔らかな口あたりと、サラリとしたキレを生み出しているのです。高清水では「酒質第一」を社是とし、名水と良質米、そして人の和を基調とする高度な酒造りの技術によって、清酒「高清水」を造り続けます。
旨みがある。香りがある。それでいて後味さわやか、のど越しが良い。酒質第一…高清水に脈々と受け継がれる、酒造りへの熱い思いを貫くために、蔵人は手間を惜しむことなく、その味わいに日々磨きをかけてきました。例えば「麹」。酒造りは麹造りといわれるほど、麹は酒の品質を左右する大切な役割を担っています。麹をふんだんに使うと、ふっくらとした深い味わいながら、後味の良い酒が生まれます。しかし、麹の大切さは分かっていても、コストや手間の問題から、麹を増やすことに消極的な酒蔵も少なくありません。麹使用量を示す「麹歩合」の基準は、本醸造などの特定名称酒で15%以上、普通酒では制約がありません。そのなかで高清水は、本醸造はもとより普通酒である「高清水精撰」に至るまで、20%以上にまで麹歩合を高めています。手間をかけ、麹をたっぷり使った、おいしいと言って頂けるものをお届けしたい。あくまでも真面目に、近道を選ばずに、高清水は、最高の酒造りを目指しています。
2019年に刷新した新しい精米機は、ダイヤモンドロール砥石で米を削る最新鋭のもので(14台)、異物や砕米を除去する最新の選別器なども導入しています。精米温度の上昇を抑え、米の粒を美しくそろえる設備により、さらに上質な味わいの酒造りと、県内蔵元からの精米受託という形で、秋田の酒の品質・ブランド向上を目指しています。
1987年に秋田酒類製造株式会社製造部に入社し、2014年本社蔵五代目杜氏に就任。鑑評会等でさまざまな賞を獲得している菊地氏に、酒造りのこだわりについて伺いました。
「歴代杜氏が築いてきた高清水の伝統の味は、コクやふくらみで表現される。この味わいを維持し継承するには、酒を造りだす微生物たちを良く観察し、彼らにとって働きやすい環境を整えるために温度や水分などを適切に管理することが大切です。 酒造りに一切の妥協はせずに愚直に取り組み、蔵人と共に一丸となって皆様に愛されるお酒を造り続けていきたいです」。
1998年(平成10年)に稼働した新時代の酒蔵。伝統的な手造りの技術を継承しながらも、最新の温度管理装置を導入し、少数精鋭の社員による酒造りを実践しています。小規模仕込みにより、徹底した品質管理を可能とし、多様化するお客様の嗜好にお応えしています。お酒造りの要である麹造りは、長年の経験を積んだ熟練杜氏の技と24時間体制の温度管理技術を融合。酒母造りは、先進のコンピュータ制御により、複雑で手間ひまのかかる酵母の最適な育成環境を衛生的に行っています。醪造りは、屋外の気温や湿度に左右されることなく、多種多様な醗酵を再現することが可能です。蔵は真夏でも15℃以下に保たれ、氷温冷蔵が可能な貯蔵タンクの完備により、安全かつ快適に熟成管理が行われています。
1955年(昭和30年)現在の大仙市協和に生まれ、1980年(昭和55年)秋田酒類製造㈱に入社し製造部に配属される。1990年(平成2年)には新設の御所の精米工場の立ち上げに携わり工場長として手腕を振るった後、1998年(平成10年)御所野蔵初代杜氏に就任。御所野蔵建設にあたっては、設計段階からその中心人物として活躍する。御所野蔵稼働後は、試行錯誤や新たな挑戦を続け、着実なる技術の向上により、全国新酒鑑評会で18回連続の金賞受賞という前人未踏の記録を打ち立てた(更新中)。2022年、取締役技師長に就任。
名称 | 秋田酒類製造株式会社 |
代表 | 平川 順一 |
所在地 | 〒010-0934 秋田市川元むつみ町4番12号 大きな地図で見る |
電話 | 018-864-7331 |
ホームページ | http://www.takashimizu.co.jp |