銀鱗(ギンリン)の酒銘で知られる「那波商店」は、文化12 年(1815年)、秋田藩御用達商人であった那波三郎右衛門裕生氏が藩命を受けて酒造りを始めました。明治4年に秋田市にある港町・土崎に工場を設立し、昭和10年より「銀鱗」に銘を定め今に至っています。「銀鱗」はソーラン節にある「踊る銀鱗 かもめの港…」に由来するとされ、秋田特有の寒冷な気候に任せた酒造りを行っています。
昭和3年に完成した現在の蔵は、酒蔵としては東北初の鉄筋コンクリート造りです。雄物川河口の臨海地域の中心地にあり古くから貿易で栄えたこの地に建てられた銀鱗蔵は、秋田県醸造試験場の初代場長花岡正庸氏が設計に携わりました。ボイラーに摩擦精米機、斬新な酒造庫の導入など建築物としても非常に珍しい酒蔵となっています。
銀鱗蔵のある土崎周辺の地下水は、ほど良い発酵を促すクロール分を含んでいます。その地下水と温度管理を秋田特有の寒冷地帯に任せ、自然の恵みと先人の技術で醸したお酒を製造しています。「ほっと幸せを感じてもらいたい」という想いで造る銀鱗の酒は、キメが細かく繊細な味わいが特徴です。
当蔵では、秋田流生酛仕込に力を入れております。最大の特徴は電動ドリルを使用し、山卸し(酛摺り)と呼ばれる作業を行っていることです。蔵の中で共に息づいている乳酸菌たちの力を借りて造られるお酒は、穏やかな香りと、さわやかな酸味を兼ね備え、楽しいひと時を彩ってくれます。
銀鱗は秋田県立大学と連携し、新しい日本酒の開発に協力しています。「究」は秋田県立大学が、2009年から取り組んできた。日本酒の開発プロジェクトです。大学で醸造を学んでいる学生を中心に酒米の栽培・収穫から酒造りまでを行うものです。2018年度からは、当蔵において酒造りの指導と流通販売を行い、秋田公立美術大学の教員・学生にも参加していただき、学生たちと一体となって、お酒を醸しております。
酒米は秋田県大潟村産の「秋田酒こまち」を中心に、兵庫県産「山田錦」や、秋田県湯沢市産の「一穂積(秋田120号)」などを原料として使用しております。特に「秋田酒こまち」は大潟村の戸堀農場と契約し、栽培していただいております。戸堀農場とは、田植えなどの農作業に参加・協力させていただいており、今後共よりよい品質を目指し、共に励んでいきます。
エネルギー溢れる独特の雰囲気と確固たる酒造りに対する思想を持つ藤田杜氏にお話しを伺いました。
『「上質な酒とは」と良く聞かれるけど、各人が飲んでみて旨い!と思った酒が旨い酒なんだと思いますよ。あまり難しいことはありません。銀鱗の酒の特徴は、いい意味でクセがあるんです。海に近い場所にあるから水自体がうまみを造ってくれていると思います。なんていうか「一風変わった独特なうまさ」があるんですよ!』
名称 | 株式会社那波商店 |
代表 | 那波尚志 |
所在地 | 〒011-0946 秋田市土崎港中央一丁目16-41 |
電話 | 018-845-1260 |
FAX | 018-846-7800 |
ホームページ | http://jizakemonogatari.net/ |