●杜氏紹介
出身地 仙北郡神岡町神宮寺193(現大仙市)
氏名 斉藤泰幸
生年月日 昭和24年11月4日

昭和40年12月角館高校一年の時家庭の都合で下宿しての高校通学が出来なくなりました。定時制にゆく決意をした時、担任の先生方が、住込みで朝夕働きながら高校生活を続ける事が出来る様にして下さいました。住込み先は当時の白梅、五井酒造店。朝早くおきて仕込みを手伝い、学校から帰って夕方は酒の配達をして、高校生活を終えました。その時の五井酒造店の杜氏さんが、現在六郷町八千代酒造店の杜氏さんである中野鶴松さん。自分も杜氏になるなんて夢にも思っていませんでしたが、御世話になった多くの人達への恩返しは、飲む人の心に残る酒を造る事だと思ってます。

〈杜氏の姿勢〉
先代の社長(伊藤恭五郎氏)から言われた“酒造りは人造り”という言葉を心に刻み、他人に優しく、仕事と己に厳しい酒造りを目指したい。キレの良い吟醸造りと、全く相反する山廃仕込みによる酒造りは本当に蔵人泣かせではあるが、飲む人達の喜びの声をささえに蔵人心一つにしてがんばります。



六槽の酒槽

現在ひとつの蔵にこれだけの槽があるのはめずらしく、他の蔵では、この槽は新しい機械にとって代わられているのがほとんどで、ひとつひとつの酒袋にもろみを入れ、槽底に入れる作業は蔵人に強い連携を要求します。今だこの手法を用いこだわりの酒造りを続けているのです。
山廃酒母室

刈穂の山廃仕込みには、昭和初期から大戦中まで用いられていた昔ながらの手法に独自の手法が、とり入れられています。特徴はなんといっても厳寒期の長期低温発酵で二ケ月にも亘ります。
蔵で酵母を自家培養し、蔵に合った酵母の保持に努めており、独自の変わらない風味を醸し出しています。
刈穂の仕込水

香りが良く、キレのある刈穂の酒質はその仕込水によるところが大きいといえます。雄物川の支流玉川の伏流水であると思われ、秋田県内では珍しい中硬水、そして山廃に適した成分が多く、この酒質は酵母の生育しやすい環境を作り出します。必然ともいえる刈穂の淡麗ですっきりした味わいには自然の恵みが存分に生かされています。